SSブログ

真空管 ヒーターフラッシュ現象 Vacuum tube Filament Flash [パソコン・インターネット]

ヒーターフラッシュ現象?って何サ
って話から始めなければならないと思っています、何しろ真空管
の話ですからね。
先ずは此の動画をご覧下さい、あー、あれか・・・知ってるよ
って思われる方も多いと思います。
↓↓↓

真空管が冷えた状態で電源投入したときにチカッと発光する現象
の事ですね、では何故、一瞬発光して徐々に正常なヒーター発光
と成るかご存知でしょうか?
ああ、知ってるよそんなの、電源投入時はヒーターの抵抗値が低い
だが時間と共にヒーターの温度が上昇し抵抗値が高くなるだから
最初はラッシュ電流が多くなって過分に発光すんだろ?当然だよ。
はい、大正解、ならば問いたい
・何故同じ型式の真空管でもヒーターフラッシュ現象の出る物と
  出ない物が在るの?
・ヒーターフラッシュ現象を抑制する回路は?定電流回路?
 シリーズ抵抗入れる?
・真空管の寿命にどう影響する?
この問いに明確に回答できる人は多くないと観ています。
動画の真空管ラヂヲは五球スーパートランスレス型です
トランスが無い事から軽量でトランスの分だけ部品代が安い
当時としては普及型ラヂヲで在ったと推量しています

真空管五個は全て直列配線と成っており数字の上ではバランス
の取れた選定と成っていますが直列で電力の均一化って結構
難しいんですよね、其れを含めて回路設計して居るのでしょうが
ユーザー或いは街の電気屋さんが修理で代替真空管に変えたとき
どの様な造りの真空管に成るか誰にも判りません其処がネックでしょう

其れは兎も角も
当該ラヂヲで一番強く発光したのが 12BE6  7極真空管です
↓↓↓
12BE6-3_R.JPG

マニュアルの抜粋 ↓↓↓
12BE6_R.jpg

問題のヒーターの出入り口部分のクローズアップ写真です
判りますか?フィラメントはコイル状で其の儘、電極脚にスポット溶接
して居ますよね、この造り方の真空管はヒーターフラッシュ現象を
起こしやすいのです
↓↓↓
12BE6-2_R.JPG

五球スーパーから抜き取って単体でテストしてみましたがちゃんと
再現します。↓↓↓


一方で同電極構成でヒーター電圧値が6.3Vの日立製は
ヒーターフラッシュ現象が起きないのです、動画をご覧下さい
↓↓↓
6BE6-4_R.JPG
日立製6BE6のヒーター出入り口部分のクローズアップ写真です
違うのがわかりますか?そうですフィラメントのコイル部分とは別に
真っ直ぐに伸びたフィラメントが電極脚にスポット溶接されて居る
のです、白く成っているのは石綿とされて居ますが成分は定かでは
在りません。
↓↓↓
サイズ変更DSCN1640.JPG

サイズ変更DSCN1639.JPG
この真空管は 12BA6 東芝製です、ヒーターフラッシュ現象は
全く現れません
↓↓↓

サイズ変更DSCN1641.JPG
東芝製 12BA6 のヒーター出入り口部分のクローズアップ写真です
理想的な造りですね、電極脚と石綿状のフィラメントとの間隔
が大変短く、フィラメントの真っ直ぐ延びた造りですこれでは
ヒーターフラッシュ現象は起きようにも起きないです
↓↓↓
サイズ変更DSCN1644.JPG

この真空管は松下製 6EJ7 多分テレビ用だと推量しています
これもフィラメントがコイル状の儘、電極脚にスポット溶接
されて居る為、弱いヒーターフラッシュ現象が観られます
↓↓↓




松下製 6EJ7のヒーター出入り口部分のクローズアップ写真です
単純にフィラメントを切って強引にスポット溶接しただけですよね
↓↓↓
6EJ7_R.jpg

この真空管は六球スーパーのマジックアイ
トーヨー製 6E5 です、これはヒーターフラッシュ現象は
起きません、フィラメントの溶接部分が真っ直ぐ延びているからです
↓↓↓



トーヨー製 6E5 ヒーターの出入り口部分は真っ直ぐ延びていますね
↓↓↓
6E5_R.JPG


纏めです

・何故同じ型式の真空管でもヒーターフラッシュ現象の出る物と
  出ない物が在るの?

この問いに対してはヒーター・フィラメントの出入り口部分の
電極脚にどの様にスポット溶接しているかで決まります、
傍熱管では
ヒーター・フィラメントはカソードと独立しており且つコイル状に
成っている、更に石綿状のものが塗布され
ヒーター・フィラメントは

カソードと絶縁している、その上で電極脚に剥き出しコイルを単純に切断した儘
スポット溶接している物はヒーターフラッシュ現象が発生するが
そうでは無く、真っ直ぐにフィラメントの両端を延ばして電極脚にスポット
溶接されたものはヒーターフラッシュ現象は発生しない。

その際、重要な事は電極脚と、石綿状でくるまれたフィラメント
は熱が蓄積するまで時間が掛かる、結果、ヒーターフラッシュ現象が
起きた時、電極脚と
石綿状でくるまれたフィラメントへ徐々に熱が逃げて
行きやがて収束する、この逃げる時間が早ければヒーターフラッシュ現象

は速く終わるが、フィラメント剥き出し部分が長ければその分だけ
発光は強く長く成ってフィラメントの寿命を縮める可能性が出てくる
従って、製造過程で
電極脚と、石綿状でくるまれたフィラメントの間は
長く開ける事は宜しく無い、如何に短く納めるかが製造技術者としての

腕の見せどころに繋がるのだろうと考えて居ます、推定ですがフィラメントが
真っ直ぐ延びた状態で在っても長すぎればヒーターフラッシュ現象は
発生する可能性があると言える、そう結論づけたいと思います。

・ヒーターフラッシュ現象を抑制する回路は?定電流回路?
 シリーズ抵抗入れる?

どちらも疑問ですね。
定電流回路ではフラッシュは抑制しそうな気がしますが一定の電流値
を保つと云うことは電圧値に変動が必ず起きると言い換えられます
低すぎたり、高すぎたりしては成らない、然かも真空管の数だけヒーター
定格差が在る事から全て独立した定電流回路が必要に成って来る
其れを採用するだけのメリットは在るのか。

一方でシリーズ抵抗は最初は善いけれど時間が経過したら短絡しないと
いけませんね、タイマーは必須ですし全ての真空管に独立した回路で
なければなりません、一束ひと絡げでは余りにもテキトーっと言われる
でしょう、少なくとも私はそんな事はしない。

私ならスロースタートアップ回路を組みます、真空管はそれ自体
電源投入から遅延して運転が安定します、ならばもうすこし時間を
掛けてゼロから定格電圧値までリニアに上昇する回路を組めば善い
と考えて居ますCRでも組めますよね、一分ぐらい掛けて定格電圧値
に到達する回路、此れならばヒーターが並列接続であれば均一に
立ち上がります、電圧モードですから消費電流のバラツキは無視さ
れますね、試してみる価値は在ると思います。

・真空管の寿命にどう影響する?

ヒーターフラッシュ現象に関しては全く問題無い、むしろその方が善い
と云う意見も散見されますが 本気で言っているの?と思います
フィラメントは室温→極端な急加熱→定常温度→室温 のサイクルを
繰り返す事でフラッシュ部は強い膨張と収縮を繰り返します、この
サイクルから
極端な急加熱を除去するだけで寿命は延びると考えるのが

普通では無いでしょうか、其の前にエミゲンで交換するから関係ねぇ
というご意見も在るでしょうね、実際の運用と物理的なダメージは
どのようなものでも一緒です、それより音質に拘った方が正しいと
思えてきますね。

-------------別解----------------------

昔、学校で明るさの違う白熱球を直列に繋いで実験した経験ありますか?
本来、明るい方が暗くて、暗い方が明るく点灯し逆転現象が起きますよね
実は、ヒーターフラッシュ現象にもそれがあてはまると考えて居ます
つまり何が言いたいかと成れば

トランスレス五球スーパーの場合、AF出力の35A5や整流管35W4等は
文字通りヒーター定格35Vです、一方で12BE6や12BA6も文字通り
12Vですね、此れ等を全て直列配線して動かしている訳ですから電球と
同様に幾ら整合を計っても誤差範囲に在ったとしても真空管の交換など
修理を行った際に果たして其の整合性は保てるのか疑問です。

また、整合の取れた真空管を並べたとしても真空管の室温状態から定常
動作までの立ち上がりの時の整合性は考えられて居るでしょうか其処にも
疑問を感じます、過渡現象は必ず在って其れを経て立ち上がるのですから
電源投入から定常動作までの間は必ず何処か弱いところにしわ寄せが
起きていると考えるべきです。

次に、真空管それぞれについてもミクロ的に解析すれば同様の事象が
起きているのです。

フィラメントは石綿状のものが塗布されているが電極脚の部分は
剥き出しになっている、この時、コイル状のものもあれば、真っ直ぐ
延びたものもある、だが、二つとも共通しているのはフィラメント
で変わりは無く石綿状の物が塗布されている、この事に注目すると

コイル状の剥き出し、と、真っ直ぐの剥き出し、それらの違いは
フィラメントの長さに在りますね、コイルは真っ直ぐにすれば
其れだけ延びると言うことになります、従って、真っ直ぐのものと
コイル状のものとでは同じ剥き出しでも抵抗値が異なると言えます。

この時、電源が投入されると石綿状の方はまだ冷えていて抵抗値が低い
然し乍ら剥き出しの方は抵抗値が忽ち高くなる、それは石綿が無いからです
熱の逃げ場が少なくて忽ち強く発光発熱する

これは即ち、先に申した
明るさの違う白熱球を直列に繋いだのと
同じだと言えるのです、ヒーターの場合だと抵抗値の低い方が明るい電球
に相当し暗い、石綿が有る為に熱が上がらず抵抗値は低いままですからね

一方で石綿の無い部分は熱がすぐに上がって抵抗値が高くなります
これ即ち暗い電球が明るく点灯するのと同じに成りますね、ただ引っかかる
事が在ります、其れは剥き出し部分の長さです、ヒーターそのものは
抵抗紐(ひも)と同等です、同じ素材で剥き出しか石綿かの違いです
剥き出し長さは石綿長さより全然短い事から電球に例えた場合明るい

電球が剥き出し部分相当ではないのか、つまり上での解析とは逆に
考えられる訳ですね、そう成るとややこしく成ってきますが、熱に
注目すると剥き出し部分は自由に放射出来るからヒーターフラッシュ現象
が起きる、だが石綿部分は放射が抑制されるからヒーターフラッシュ現象
は起きないとも言えますね。

次に、剥き出し部分がコイル状のものと真っ直ぐなものとでは
コイル状のほうが確実に抵抗値は長い分だけ高くなって居ます
コイル状 = 抵抗値高い
真っ直ぐ = 抵抗値低い
この結果からも判るように抵抗値の高いコイル状のフィラメントは
直ちに発光しヒーターフラッシュ現象を引き起こす、
真っ直ぐなもの
は抵抗値が低く発光しにくい上に、熱は電極脚にも石綿にも逃げる
ので余計に発光しにくく成る、
という結論に至ります。

やがて時間と共にフィラメントは温度が均一になり明暗の差は無くなる
一方で電極脚の部分は温度が低いことから溶接部分も電極脚と同じ温度
に成って居り抵抗値は低く暗く既に発光しているフィラメントの方に熱も
発光も集中し収束する、これが真空管の安定した状態です。
eot

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

絶縁テスト回路引っ越しました ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。